みなさん、はじめまして。大塚と申します。
ハーモス経費の事業責任者を務めており、
本企画ではインタビュアーを担当いたします。
ハーモス経費は良い機能を豊富に取り揃えたサービスなのですが、
詳しいところまでご紹介できる機会は限られています。
今回は「開発者へのインタビュー」という形で、
ハーモス経費の機能の魅力をみなさまによりわかりやすくお伝えができればと思い、
このような場を設けました。
私自身、新卒で入社した会社で経理として働いた経験を持っており、
セールスとしても経理の方々のお声も直接お伺いしています。
そういった立場だからこそできる話があるかと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
経費事業部 事業部長
大塚 健司
プロジェクト推進グループマネージャー
蛭田 敢仁
あらゆる会計ソフトとの連携を可能にする機能
開発を牽引いただいた蛭田さんに来ていただきました。
まずは今回リリースした「汎用レイアウト機能」について説明してもらえますか?
はい。汎用レイアウト機能は「あらゆる会計ソフトとの連携を可能にするための機能」として開発されたものです。できることを端的にお伝えさせてもらうと「会計仕訳データのテンプレートをシステム(ハーモス経費)上で簡単に作成できる機能」と表現できます。
お客様それぞれの独自の事情に対応した、出力のカスタマイズが簡単に実現可能になるため、例えば、都度手作業で行っていたようなデータ整形をなくすといったことが可能になります。具体的なスキル感でいえば「表計算ソフトで簡単な表を作成した経験」があればカスタマイズ対応が可能です。この機能によって経費精算の担当者のみではなくさまざまな業務が改善できると思っています。

ありがとうございます。「さまざまな業務が改善できる」とはどういったことなのか、具体的に説明してもらえますか?
いくつか具体例を挙げていきますと、これまでは諦めていた会計ソフトとの連携が可能になったり、また先程の「手作業でのデータ整形」をプログラムを組んで実施していた場合は、プログラムの専門知識を持った人物に依頼をしているケースもあるかと思います。この機能を活用いただければそういった依頼自体が不要になりますし、変更があった際のメンテナンスもご自身で実現可能になります。ひいては会計ソフトへの連携自体がスムーズになり、安定性も担保されるため、月次決算業務の効率化にもつながるとおもいます。こういった形で、直接経理を担当されている方のみならず、いろんな箇所へのメリットが期待できる機能です。
事業部長としても、経理業務の経験者としても、とても良い機能だと私も認識しています。蛭田さん自身は開発者としてこの機能に対してどのような感想を持っているんですか?
そうですね。お客様への価値提供という観点で自信を持てる仕上がりになったと思っています。今回「90%の会計システムと連携できる」という開発コンセプトがあったんですが、経費精算システムを導入されるお客様にとって会計システムとの連携って非常に重要なポイントだと思っていて、そこにきちんと向かえている機能になっているんじゃないかなと。
確かに、会計システムとの連携はお客様によっては「出来ないなら(経費精算システムを)導入する意味がない」というくらい重要な箇所ですよね。「90%の会計システムと連携できる」という開発コンセプトについてさらに聞かせてください。
もともとは開発の責任者から降りてきたフレーズでした。今後、より多くのお客様に価値を提供し続けていくために、会計ソフト連携という、導入の前提となるような部分が障壁となってしまわないように「お客様が使う会計システムとは必ず連携ができる」という状態を目指していました。
いま振り返ってみても「必ず連携ができる」は難易度が非常に高く感じるテーマですよね。会計システム連携といえばハーモス経費には「eKeihiPlus(※)」という機能がもともとありますよね。
※eKeihiPlus→ハーモス経費の前身サービスである「eKeihi」の会計連携機能。eKeihiは機能や料金体系などをそのまま引き継ぎ、2022年11月に「ハーモス経費」に名称変更を行っている。
はい。eKeihiPlusは、会計ソフトの仕様とお客様の利用状況に合わせてカスタマイズを積み上げていくことで対応のラインナップを増やしていくといったような機能でした。業界を代表するような利用者が多い会計ソフトにはほぼ対応をしていましたし、品質においてもお客様にもご評価いただいていました。
ただそれもあくまで会計システムにおける標準対応がベースであり、冒頭に挙げたような手修正を伴うような修正にリニアに対応できているとは言い難い部分がありました。且つ、結局はご要望をいただき次第で一社ずつ順番に対応していくという形になるので、お客様の要望にはできるだけ早く対応したいものの、その都度我々の開発のリソースが空いているとも限らないなど、課題が様々ある状態でした。そうなったときに一社ごとのカスタマイズに順次対応していくやり方に頼らない方法を模索していく必要がありました。

仕訳作業を大元から構造化
これまでの対応の積み重ねを元に、様々な観点から検証を行い、行き着いた結果が「レイアウト自体をお客様の手でカスタマイズできる機能」だったということですよね。もともとの課題感から、いい意味での飛躍を感じる内容なのですが、私の目線から見て、そこに至るまでの道のりでひとつ大きなターニングポイントがあったように感じています。それについて教えていただけますか?
そうですね。その瞬間を境にすべてが順調に、、といったような話ではないのですが、議論を重ねる中で、既存の方法の延長線上ではコンセプトである90%に届かないし、他の事業運営上でもいろんな問題点が出るよねという議論がされていたときに、根本に立ち返り、「会計システム連携ってそもそもなんだっけ?」という観点から仕訳の構成要素を構造化し直したところが振り返ると大きなポイントでした。
詳しく聞かせてください。
かなり入り組んだ内容なので、簡単に説明させていただきますね。データウェアハウス(※)のETLという考え方に則って会計システム連携を整理しなおしました。大きく3つのステップで構成されています。Extract Transform Loadの頭文字を取った略称です。日本語でいうと「抽出(Extract)」「変換(Transform)」「書き出し(Load)」ですね。「抽出」はハーモス経費の伝票やマスタのデータに則って集めること。「変換」は仕訳帳とか簿記における会計の構造に変えてあげること。「書き出し」がお客様が利用している会計システムが受け入れられるように形を整えてあげること。この中で「変換」と表現させていただいた簿記のルールはものすごく不変なものじゃないですか。今回の深掘りによってそこをきちんと抑えられたということがすごく重要で、だからこそ90%という数字にも自信を持てているといったところが背景です。
ここまで根本のところまで立ち返った結果、今後起こりうるいろんな変化、、例えば法令対応などに関しても、「「書き出し」側でお客様自身で対応いただける機能」という構造にしたことで、さらなる利便性を提供できる機能に行き着いたという状況です。
※データウェアハウス→「活用」を意識したデータ用の大型倉庫のこと

開発過程で出た膨大な量の図の最重要箇所
実際に90%の会計システムに対応しているのかどうかは、今後の事業活動を通じて確かめていく部分もありますが、それくらいの可能性が見込める機能になったという点において、90%という数字が「開発のコンセプトとしての機能した」という流れでしたよね。
そういうことですね。90%の会計システム連携と言いつつも、ただ連携することだけが目的というわけではなく、会計システムとの連携が既に済んでいるお客様にも連携の質を更に高められるメリットが提供できると考えています。
各社固有の会計処理の事情を痒いところにまで手が届くような形でデータに反映できたり、例えば法令対応のような今後も起こりうる変化にも対応しやすくなったりと、メンテナンスも安定化させられるのではないかと思っていて、この辺りはeKeihiの時代から積み上げてきた開発資産を丁寧に紐解いていったからこそ提供できるようになった価値だと思っています。
会計連携の向上が生み出す価値
連携して出力してみたはいいものの、たったひとつでも手作業が加わってしまうというような状態だと、結局チェックの手間も発生するということであり、イレギュラーな対応であれば間違いが許されるというわけでもないですし。それは経理という職能の特性上、非常に喜んでいただける機能だと思います。

そうですね。そういった改善で空いた時間を、例えば時間さえあれば着手したかったというような重要度の高い業務に当てていただくなど、より生産性の高い時間の使い方につなげていただければ開発者としては非常に嬉しく思います。
ありがとうございます。一連の流れについて改めて理解が深まりました。最後にこの記事をご覧いただいた方に一言いただけますか?
そうですね。とにかく一度触ってみていただきたいなというのが率直な気持ちです。何らかの理由で会計連携を諦めているといった方や、会計連携自体はできているんだけど更に質を高めたいというような要望をお持ちであれば、改善によってもたらされるメリットは100社あれば100通りのパターンがあるような機能になっていると思っています。お客様の方でこういった使い方、こういったメリットが生まれているという事例は率直に知りたいですし、さらに言えば、今回の機能では対応しきれないケースなども今後の改善につなげていくために積極的に把握ができればなと思っています。
ありがとうございました。私もお客様にどういった反応をいただけるのかを非常に楽しみにしている機能です。今回の汎用レイアウト機能は大きなリリースでしたが、会計連携を改善するプロジェクトは今後も続きますので、今後も一緒に価値を積み上げていきましょう。